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講師:東京都立三鷹高等学校教諭�早山 明彦 高高校校講講座座HHOOMMEE >> 生生物物 >> 第22回 DNAとタンパク質第22回 第3部�遺伝
DNAの情報がmRNAに写しとられ、タンパク質ができあがるまでを学習しましょう。
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今日のテーマはDNAとタンパク質です。DNAは遺伝子の本体であること、
タンパク質は酵素の本体であることは既に勉強しました。
今日はDNAの酵素と分子にはどんな関係があるのかみていきます。
今日の学習ポイントです。
①遺伝子のはたらきを探る
②遺伝子がタンパク質をつくる仕組み
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遺伝子のはたらきを解明するきっかけとなった、ビビーードドルルととテテーータタムムが行ったアカパンカビというカビを使った実験 を紹介しましょう。この実験を再現するために、アカパンカビを使って遺伝研究を進めている、埼玉大学理学部の井 上弘一先生に協力していただきました。
子のう菌(しのうきん)の仲間のアカパンカビは菌糸が増え、その先にオレンジ色の分生胞子をつけます。この胞子に エックス線や紫外線を当てます。こうすると突然変異株がうまれます。次に接合させると、子のう胞子ができます。こ うして何種類もの突然変異株をつくり準備します。ここからが、ビードルとテータムの実験の再現です。栄養条件の 違う4種類の培地を用意します。アカパンカビがはえるのに必要最小限の栄養成分が入った培地、最少培地にオオルル ニニチチンンを加えたもの、さらに最少培地にシシトトルルニニンン、アアルルギギニニンンをそれぞれ加えた培地です。4種類の培地それ
ぞれに、野生株と3種類の変異株をスポットして培養します。
�結果はどのようになったのでしょうか。
最少培地には野生株のカビだけが成長していることが分かります。2番目のシャーレ、つまりオルニチンを加えた培 地では、野生株と3番目の突然変異株が生育できています。他の2つの培地、つまりシトルリン、アルギニンを加えた 培地では生育できる株が増えています。
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ビードルとテータムがこの実験を行った当時、グルタミン酸→オルニチン→シトルリン→アルギニンというふうに、酵 素によって化学反応が進行する、ということが解明されていました。
培地の実験結果をこれと対応させて考えます。最少培地からは野生株だけが生育できていることから、アカパンカビ の野生株はグルタミン酸→オルニチン→シトルリン→アルギニンという化学変化を起こす3つの酵素、遺伝子を全 部持っていたため、アルギニンをつくり生育できたと考えることができます。
ところが3番目の突然変異株はグルタミン酸だけだと成長できないのです。しかしオルニチンやシトルリン、アルギ ニンを加えると生きていくことができます。つまり3番目の突然変異株はグルタミン酸からオルニチンへの化学反応 を行う酵素がなかったといえます。その酵素をつくる遺伝子が壊れていた、突然変異をしていたと考えられます。
このようにみていくと、2番目の突然変異株はオルニチンをシトルリンにかえる酵素が壊れていた、突然変異をして いたと考えられます。
この実験から、ひとつの化学反応を進行させるにはひとつの酵素が必要である、その酵素をつくるのはひとつの遺 伝子だという考えに至りました。(一一遺遺伝伝子子一一酵酵素素仮仮説説)。
その後の研究で彼らが1段階だと思っていた化学反応は2段階であったり、あるいは1つの遺伝子だけで1つの酵素 が出来ない場合があったり、ということが分かってきています。ですから、今では1つの遺伝子が、ある特定のタンパ ク質(ポリペプチド)をつくっていると捉えるのが妥当と考えられています(一一遺遺伝伝子子一一ポポリリペペププチチドド仮仮説説)。
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先程の実験から、遺伝子は酵素を作っていることが分かりました。遺伝子(DNA)は核の中にしかありません。ところ が実際に酵素のようなタンパク質を作るのは、核外にある細胞質のリボソームです。この間を繋ぐものを研究者が 3~40年研究し、その中で有力視されたのがRNAで、DNAとも相互的に結合でき、それを何らかの形でタンパク質 に置き換えられたならば、DNAとタンパク質の仲介役になれるのではないか、と推測し解明したのです。
DNAとRNAはどちらも核酸で、リン酸と糖、塩基でできている分子です。ただ糖の部分がDNAはデオキシリボース
(dR)で、RNAはリボース(R)です。塩基はA、G、C、までは同じですがDNAではチミン(T)、RNAはウラシル(U)に なっています。ですが基本的にはAとTが相互的に結合するように、RNAではAとUが相互的な関係にあることが分 かります。
DNAからRNA、そしてタンパク質という流れがどのように起こっているのかみていきます。
DNAの模型をつくってみました。遺伝子を作っているDNAが働くときは、DNAの鎖がその部分だけ酵素の作用によ りほどけていきます。そこへ相互的な関係を持ったDNAの一方の鎖と相互的な関係を持ったRNAの分子がやってき ます。TにはA、AにはU、CにはG、GにはCとRNAの鎖が完成すると、結合が離れ、核の外へ出ていきます。そして そこへリボソームが付き、タンパク質に置き換えているのです。
ペペーージジトトッッププへへ戻戻るる ココドドンン
タンパク質を作っているアミノ酸は20種類あります。ところが塩基は4種類しかありません。ある1つのAという塩基が ロイシンと決めているとすると、4種類のアミノ酸しか塩基から指定することができません。では2種類の塩基を使 い、その組み合わせでアミノ酸を決めたらどうでしょうか。4 4で16通りのアミノ酸しか決めることが出来ません。こ のような結果から最低3つの塩基が組合さないと20種類のアミノ酸を決めていくことができないのではないかと考え られました。塩基が3つずつ読み取られ、暗号表の通りアミノ酸に置き換わっていくことが分かったのです。この3組 の暗号をコドンといいます。
例えば、最初の3つをみてみるとAUGとなっています。これを暗号表に照らし合わせるとRNAが写し取ってきたのは メチオニンというアミノ酸を決める遺伝情報となります。次のGCAはアラニンというアミノ酸を並べる、という遺伝情 報となります。
こうしてDNAの長い鎖から塩基配列をRNAにコピーし、そのRNAの塩基配列が3文字ずつリボソームで読み取ら れ、順番にアミノ酸に置き換えられていきます。つまり塩基の並びがアミノ酸の並びに変わるのです。アミノ酸がたく さん並ぶということはポリペプチド、タンパク質となるのです。
DNAの塩基配列がmRNAに写し取られます。そして核の外へ出ていき、リボソームのところへ行き、ここでアミノ酸 の並び順に置き換えられていきます。そのアミノ酸を運ぶのはtRNAで、これが順番に繋げる手伝いをしているので す。
このように色々な分子が協力して働き、我々の形質をあらわす反応をしています。
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DNAの情報からからタンパク質が作られる様子をみてみます。まず、折りたたまれたDNAが、細胞の中にすでにあ
るタンパク質によりほどけます。遺伝子の部分にこれからつくるタンパク質の情報があります。まわりのほどけた部分 も大切です。そこにmRNAを作る、という目印になるタンパク質が付きます。mRNAを作る酵素、RNAポリメラーゼ がやってきます。DNAの二重螺旋をほどき、塩基をむき出しにし、情報を写し取ります。塩基がペアをつくる性質を 利用してTにはAを、AにはUを、GにはCを、というように正確に写し取り一本の鎖にします。こうしてできた鎖が mRNAです。
遺伝子にはタンパク質作りには必要のない情報があるので、読み取ったmRNAで必要のない部分を切り取ります。
終わりには、ここで終わりという印をつけます。これでmRNAは完成です。その後、核膜にある穴を通って、細胞質へ 出て行きます。
核の外へ出たとたん、mRNAにたくさんのタンパク質がくっつきます。リボソームは、タンパク質合成工場であり、
mRNAの情報が、アミノ酸に変換される場です。リボソームの中で、mRNAのコドンがアミノ酸に置き換えられていき ます。そこでゆるい立体構造をとります。さらにタンパク質の入れ物シャペロンに押し込められ、正しい立体構造にな り、一人前のタンパク質として働き始めます。
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情報の流れの最初はDNAでした。それがmRNAに置き換えられ、細胞質に出てポリペプチドなどの物質に変わり、
具体的にその物質が働くことによって我々の生命の営みが行われているのです。
最近の研究では、DNAの情報で作られているのはタンパク質にいく前のmRNAで止まっている物もたくさんある、こ れが色々な調節に働いている、ということが分かっています。